長崎家庭裁判所 昭和46年(少ハ)9号 決定 1971年10月28日
本人 T・I(昭二六・四・四生)
主文
在院者T・Iを昭和四六年一一月二日より昭和四七年七月一日まで中等少年院に継続して収容する。
理由
少年は、昭和四六年九月一七日、前回の収容継続申請事件の審判の結果、却下の決定を受けていたものであり、その後順調にいけば、同年一一月一日に満期退院となる予定であつた。
しかるに、本件調査によれば、右却下決定による気の緩みもあつて、右決定後今日まで三回の事故を起していることが認められる。即ち、先ず、同年九月二九日午後三時ころ、本工科実科場の教官室においてたまたま教官が不在であつたので、吸殻一本を手に取つたところを教官に見つけられて謹慎三日間の処分を受け、次いで歯磨粉の使い残りと運動会の準備で使用したセロテープを自室(七室)の床下にかくしていたのを同年一〇月一六日発覚されて院長訓戒処分を受け、さらに同年九月初旬から新入りのG・Uに対し、態度が悪い、言葉使いが悪いと言つて、同室者の二人と三〇回にわたつて、頭や顔を殴つたり足を蹴つたりして、謹慎二〇日間の処分を受けたものである。
右事実からみれば、少年は同年八月一日一級の上に昇進しているとはいえ、犯罪的傾向がまだ矯正されていないため退院させるに不適当であるといわざるを得ず、また、出院間際の連続事故であることもあるので、出院後若干の保護観察の期間をおくことも必要であると考えられる。
よつて、前記二〇日間の謹慎処分が解除になる同年一一月一五日の翌日から改めて一級上の期間(三ヶ月半位)が進行することおよび右保護観察の期間を考慮して八ヶ月間の収容継続が妥当であると認められ、本件申請どおり右在院者を同年一一月二日から昭和四七年七月一日まで中等少年院に継続して収容することとし、少年院法一一条四項により主文のとおり決定する。
(裁判官 東条宏)